自分の弱さと向き合う

子育て

「やることはやったの?」

私は息子に声をかけた。

「……。」

「やることはやったの?」

答えないことに私は苛立ち、少し口調は強くなる。

「………。」

「やることはやったの?と聞いているだけでしょう。うんか、ううんか、どっちかなのだから答えられるでしょ!どっち!?」

「…………。」

もうこの時点で、やることをやっていないことは明らかだ。

そしてこれは、私と息子のいつものやりとり。息子は自分の都合の悪いことはいつも答えなくなる。そしてこの繰り返しで、私の口調はどんどん強くなる。

「もう知らない。」

私は捨てゼリフを放った。

学校から帰ってくると、息子は何事もなかったかのように

「今日、体育館で転んじゃったー。ママー、痛いよぅ。」

と話してきた。

私は「ふーん。」と素っ気なく答えた。

息子は「ママ!痛かったんだよ、とっても!」

と赤くなった膝小僧を見せてきた。    「今も痛いよぅ。」

私は冷たくこう返した。

「どうしてママのお話は返事してもらえないのに、あなたのお話にはお返事しないといけないの?ママだってお返事してもらいたいのにあなたばかりずるい!」

「……。」

また答えなくなった。

そのままバタバタと習い事の送迎やら家事やらをするうちに、息子の寝る時間になった。他の家族はその時不在で、家の中は私と息子の二人だけだった。

息子は、一人でベッドに行くのが寂しく、私についてきてもらいたかった。でも、今日の“あのやりとり”以降話していない。

息子は、ゴクリとつばを飲み込んで、私に話しかけてきた。

「ママ…。朝はお返事しなくてごめんなさい。」

私は“あのやりとり”以降きちんと見ていなかった息子の目をまっすぐ見た。

勇気を出して謝ったことは認めたかったが、これだけで許してしまっては、また同じことを繰り返してしまうなとも思った。

「朝も。だよね?いつも自分に都合の悪いときはお返事しないんじゃない?」

息子の目は、今はしっかりと私を見ていた。返事はしなかったが、私たちはちゃんと向き合っていた。

「いつもお返事しないことをママが怒るよね?言われている今、よく考えて次から直さないと、また同じことを繰り返してしまうよ?」

「…うん。」息子は目をパチパチしながら答えた。

「自分の良くないところ、ダメなところって誰でも認めるのは気持ちのいいことじゃない。ママもそう、逃げたくなる。だけど、自分の悪いところから目を背けないで、理解して直そうと努力することで、自分を好きになったり、自分に自信を持てたりするんじゃない?自分の悪いところを見てみないふりしてたら、そのまま大人になってしまうよ。それでも良いと思う?」

息子は急に                  

「うわ〜〜ん…」

とボロボロと涙をこぼして泣き始めた。

「大人になったママもそうなんだけど、自分の悪いところと向き合うのは勇気がいることなんだ。嫌なことから逃げたいと思う弱い自分に、勝たないといけないから。それは逃げるより大変だから。それでも、好きな自分になるために弱い自分に、勝ってやりたくないかい?」

「うん。」

「じゃあ、ここが自分の欠点だなと思うところは直せるように努力しよう。」

「うん。」

息子は涙を拭って、しっかり答えた。

私は息子が少し理解してくれた気がして安心した。

が。

一方的に考えを話したというこの自分の行動に納得しきれないまま、

どうしたら良かったかなぁ…と、自分の悪いところとまた向き合うことになった。

時計の針は10時を回っていた。

息子はベッドの中で幸せそうに私にほほえみ、「おやすみ」と言って

二人は寝た。

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